
玄関に並ぶ靴。冷蔵庫に貼った予定表。棚の上には、家族の写真。普段は気にも留めないものが、家を売り始めると急に「見せてよいものか」に変わります。
今住んでいる家を売るときは、売却活動と普段の暮らしが同時進行。室内をどこまで撮影するのか、内覧者へ何を見せるのか。私たちは、販売に必要な範囲を先に決め、家族の生活を守りながら進めることが大切だと考えています。私生活をすべて公開する必要はありません。
見せる情報、隠す暮らし
購入を検討する方が確認したいのは、部屋の広さ、明るさ、動線、設備、収納、建物状態など。一方で、家族の氏名、勤務先、学校、予定、通院、資産、防犯に関わる情報まで伝える必要はありません。
価格以前に、生活を見られることへの不安を感じる方も少なくないものです。撮影前と内覧前には、次のものが見える状態になっていないか確認します。
- 顔が分かる家族写真
- 氏名や住所が見える郵便物・宅配伝票
- 学校名、勤務先、名札、制服
- 通帳、契約書、保険証券、納税書類
- 薬袋、診察券、予定表
- パソコンやタブレットの画面
- 鍵の保管場所や防犯設備の詳細
個人情報保護委員会は、顔画像など個人を識別できる情報は個人情報に当たり得ると説明しています。販売用写真に写り込んだ生活情報は、不特定多数が閲覧できる状態になります。ここは、少し慎重なくらいでよいところ。

写真は多ければよいわけではない
写真は、購入検討者が物件を理解するための大切な材料です。ただ、多く撮ればよいわけではありません。撮影箇所、撮影者、掲載先、公開期間、写真の差し替え方法を事前に確認します。
公開写真に向く情報
- 建物外観と敷地の関係
- 居室の広さや窓の位置
- キッチン、浴室、洗面などの設備
- 収納の位置や大きさ
- 駐車場所、玄関、廊下などの動線
公開範囲を慎重に決めたい情報
- 収納内部と保管物
- 防犯カメラや警報設備の詳細
- 子ども部屋や介護に使っている部屋
- 高価な家財や趣味用品
- 家族の生活時間が推測できる情報
写真を明るく整えたり、水平を補正したりすることはあります。しかし、傷や不具合を消して現況と異なる状態へ見せる加工は避けます。見栄えだけでなく、実際の状態を正しく伝える。それが信頼につながります。
内覧を暮らしの中に置く
急な内覧へ毎回答える必要はありません。対応できる曜日と時間帯、予約の締切、滞在時間の目安を販売開始前に共有しておきます。

流れを決めておくだけでも、家族の負担はずいぶん変わるものです。
- 不動産会社が希望日時と人数を確認する
- 居住者が対応可能か返答する
- 見学範囲と立入りを控える場所を共有する
- 担当者が立ち会って案内する
- 退室後に戸締まりと室内状態を確認する
- 内覧者の質問や反応を売主へ報告する
小さな子ども、高齢者、療養中の家族、ペットがいる場合は、無理のない時間帯と待機場所を考えます。家族全員が外出した方がよいとは限りません。在宅したまま別室で過ごす方法も含め、家庭の事情に合わせます。
見せない場所も決めておく
内覧者から、室内写真を撮りたいと申し出られる場合があります。撮影を認めるのか、どの場所ならよいのか、人物や私物が写らないか。私たちは、担当者と事前に決めておくことをおすすめします。
担当者不在で、室内を自由に歩いてもらう運用は避けます。収納を開ける場合も、売主が合意した範囲まで。貴重品、現金、印鑑、鍵、重要書類は、内覧のたびに移動せず、施錠できる場所へまとめておくと負担を減らせます。
片付けも、生活を消す作業ではありません。モデルルームのような室内へ変えなくても、通路を確保し、部屋の用途と広さが分かれば見学しやすくなります。
優先したいのは次の三点です。
- 玄関から各部屋まで安全に歩ける
- 窓、扉、収納、設備を必要な範囲で確認できる
- 個人情報や貴重品が見えない
大規模な家具購入や修繕を先に決める前に、現在の状態で何が必要かを相談します。雨漏り、設備不具合、修繕履歴など、確認できた事実は整理して伝えます。
境界線を一枚のメモにする
口頭だけでは、どうしても認識がずれることがあります。販売写真で公開する範囲、内覧時に確認してもらう範囲、見せない場所、予約できる時間。次の内容を一枚のメモにし、売主と担当者で共有しておくと運用しやすくなります。
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 写真 | 撮影する部屋、写さない物、公開先 |
| 日時 | 対応可能な曜日・時間、予約締切 |
| 入室 | 案内できる部屋、立入りを控える場所 |
| 撮影 | 内覧者の写真・動画撮影を認める範囲 |
| 立会い | 担当者、売主、家族の在宅方法 |
| 安全 | 貴重品、ペット、子ども、高齢者への配慮 |
| 報告 | 内覧後に共有する質問・反応・課題 |

売れた後も、暮らしは続く
購入申込みを受けたら終わり、ではありません。住みながら売る場合は、その後も契約、転居、荷造り、公共料金、設備確認、鍵の引渡しなどが続きます。希望する引渡し時期は、販売開始時から担当者へ伝えておきます。
買主の希望日だけで決めず、転居先や家族の予定と合わせて調整すること。残す設備、持ち出す家財、処分する物も分け、契約条件と食い違わないよう確認します。売却の予定だけでなく、その間の暮らしも一緒に設計しておく。ここが、住みながら家を売るときの大事な境界線です。
よくある質問
住んでいる状態のまま査定できますか
可能です。片付けを完了させる前でも、確認できる範囲で建物や土地の状態を見ながら相談できます。
内覧希望を断ると売却に不利になりますか
日時が合わない場合は別日を調整します。対応可能な時間帯と予約期限をあらかじめ共有しておくことが大切です。
家族写真はすべて外す必要がありますか
公開写真や内覧で個人を特定されないよう、写り込む場所の写真や氏名が分かる物は移動する方が安全です。
内覧者による室内撮影を断れますか
撮影の可否や範囲は事前に担当者へ伝えられます。無断撮影が起きないよう、案内前にも共有します。
ペットがいても内覧できますか
可能ですが、安全と負担を考え、別室、外出、ケージなど家庭とペットに合う方法を事前に決めます。
紀宝町などで住みながら売却を考える方へ
居住中の自宅売却では、価格だけでなく、家族の生活とプライバシーを守れる販売方法かを確認することが重要です。なぎさ不動産では、紀宝町、新宮市、那智勝浦町、太地町を中心に、写真の公開範囲、内覧日時、見せない場所の整理からご相談いただけます。
電話 0735-29-1000
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※本記事は一般的な内覧運用とプライバシー配慮を整理したものです。物件や契約条件に応じて個別確認が必要です。
参考にした公的機関の情報
【監修】中本陽子(なぎさ不動産/宅地建物取引士) TEL:0735-29-1000
なぎさ不動産/株式会社トリート
本記事は一般的な情報を提供するものです。個別の不動産・税務・法律判断は、状況に応じて専門家へご確認ください。
